専門家からパパ&ママへ
  • 伊藤 真理子 先生
  • 新潟青陵大学大学院
  • 臨床心理学研究科 臨床心理学科准教授

伊藤 真理子 先生からのメッセージ

こどもは、不思議で興味深い存在だと感じます。

お世話をする誰かがいないと生きていけない状態で生まれてくるけれど、びっくりするほどの早さで変化をし、大きくなっていきます。こどもの中には、自らを自分らしい人生の方向に伸ばしていく種がそなわっているかのようです。

大きく変化する最中ですから、時には、すんなりと事が運ばなかったり、立ち止まってしまったりもします。着ている服が小さくなってしまうのと同じように、これまでのやり方や環境では居心地が悪くなってしまい、混乱する事もあるでしょう。子どものこころの問題は、成長発達の大きな流れの中で、そのこどもにとって必要があって生じて来るものも多いように思います。今、この子は、大きくなっていくために、何の仕事に取り組んでいるのだろうかと考えてみると、こどもの状況がみえてくる事もあるかもしれません。

 

また、こどもが育つには、それを支えるおとなが不可欠です。子育てがはじまると、たいていのおとなは今までと全く違う生活、全く違う人間関係に戸惑うことが増えるのではないでしょうか。初めてのことだらけの毎日です。もちろん新鮮さや楽しみもたくさんありますが、子育てには大変な心理的、身体的な労力がついてまわります。こどものこと、家族のこと、自分のこと、色んなことを悩むことだってあるでしょう。

悩むことは、とても苦しいことです。しかし、考えてみれば、子育てについて悩むのは、自分にとってこどものことがとても大切だからではないでしょうか。どうでもよいことについては悩まないけれど、自分と深く関わる存在についてだからこそ、悩むのです。

そして、悩んでいるときには、とても孤独な気持ちになるかもしれません。ひとりで考える時間もとても大切ですが、悩みについて誰かに質問してみたり、話してみたりすることで、新たな考えが浮かんできたり、今までと違った関係を周りの人たちと築くきっかけとなるかもしれません。

 

子育ての悩みは、こども自身や家族、友だち、周囲の人たちや社会と、より深くつながっていけるチャンスともいえるのではないでしょうか。わたしは、きらきらが、そんな子育てを通じた人と人とのつながりのひとつであってほしいと願っています。